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[2021/05/04] ブログ動物園の撮り方
動物園の撮り方(1)私は「動物園」を撮りたいのだ!
 私は北海道内の動物園や水族館などによく行き、写真や動画をよく撮影しています。愛機は一般的にハイアマチュアモデルと言われるクラスのミラーレス一眼カメラです。サイズが大き過ぎず持ち歩きやすくて機動性を損なわず、性能的にも今の自分の技術や知識にマッチしたもので、とても満足しています。
 動物園での撮影が面白くなってきた頃に、カメラメーカーの公式ホームページや写真関係の雑誌などで「動物園での写真の撮り方」や「動物園で使える撮影テクニック」という記事を探して読むようになりました。カメラの機能や操作に慣れる目的もあったので、テクニックの解説を読んでから動物園に行って実際に撮影しながら試行錯誤する、ということを何度も繰り返しました。
 そういう記事は最初の頃は役に立ちました。しかし、しばらくすると、「あれ?ちょっと違うなぁ」と思うことが増えました。私は動物が好きなのは当然としてその上で動物園そのものが好きで、動物園の施設も含めて動物がいる風景を撮りたい。だからその為の知識やテクニックなどについて知りたくてインターネット検索して探してみるのですが、私が本当に知りたいことを解説してくれているホームページや雑誌はありませんでした。

 ホームページや雑誌の記事に大体いつも書かれているのは、檻をボカして消して動物だけを撮る方法、写真に人工物を入れない画角、見栄えの良い構図の比率、決定的な瞬間を逃さない心構え、等々。端的にまとめると「いかにして動物園の存在を消すか」というテクニックばかりなのです。それは「動物園にいる動物」の撮り方であって「動物園」の撮り方ではない。もはや「動物園を撮らない方法」になっています。しかも、どのホームページや雑誌も書かれていることがほぼ一緒でした。撮影する上での基本的な知識やテクニックとしては役に立つのですが、そこから先がない。まるで、動物園での撮影方法はこれで充分ですよ、これが全てですよ、これが正解ですよ、と言わんばかりの記事。
 後から考えれば、カメラメーカーの公式ホームページや写真関係の雑誌などでそういう解説をしているのは当然のことでした。だって、そういう記事の一番の目的はカメラの性能や撮影テクニックを紹介することであり、その為に被写体の一例として動物園の動物を利用して解説しているだけなのですから。それはまさに私が初心者の頃のニーズには合致しました。しかし、動物園好きな人が動物園に何度も通って何度も写真を撮ってそういう記事を書いているわけではないので、動物園に何度も通っている私のニーズには合致しなくなりました。

 そもそも根本的な疑問として、動物園で写真を撮っているのにどうして「動物園」を見せてはダメなのだろう? そんなに動物だけを撮りたいなら、動物園ではなくて大自然の中で野生の動物を撮ればいい。お金と時間をかけてアフリカやアマゾンにでも行けばいい。
 動物園は素晴らしい空間です。人間から動物に対するエゴと愛情が複雑に絡み合いながら混在しています。命を大切に育み未来へつないでいくこととお客さんにサービスしてお金を稼ぐことという矛盾を両立させなければなりません。そんな動物園だからこその写真の撮り方というものがあるはずです。
 私も動物園で動物のアップ写真を撮りますし、まるで自然の中のような写真も撮ります。決定的瞬間を狙って撮ることもあります。動物園の存在を消すテクニックを全否定するつもりはありませんし、教えて貰ったテクニックは役に立っています。しかし、そういうテクニックを使う撮影方法だけに終始するのは非常にもったいないと思います。せっかく動物園という素晴らしい空間の中で写真を撮るのですから、撮り方はもっと多様で多彩でいいのではないでしょうか。

 円山動物園のホッキョクグマ。館内に水中トンネルがあり、可愛いホッキョクグマが水中で遊んでいる様子を見れます。


 でもホッキョクグマ視点で考えると、水中トンネルの中にいるカラフルな動物(人間)のことをホッキョクグマが見ているのかも知れません。


 北きつね牧場。広い敷地の中に北きつねがのんびり暮らしています。


 北きつねの棲み家と人間の観覧スペースは分けられているのですが、北きつねはそんなのお構いなしです。ここにいる人間は攻撃してこないと分かっているので、人間のスペースにも入ってきて堂々としています。


 おたる水族館の冬の雪中散歩。雪の中で遊んでいるペンギンが可愛い。


 建物の周りを歩くコースで、建物の間にある連絡通路の下も歩いていきます。ペンギンの散歩は北海道内の動物園ではよくあるイベントですが、こういうコース設定はとても珍しいです。


 釧路市動物園のキリン。青空をバックにしたキリンがとても綺麗。


 しかし先程の反対側に周ると、向こうに観覧車が見えます。写真を撮ると遠近感がおかしくなってキリンが物凄く大きく見えます。


 千歳水族館の支笏湖大水槽。支笏湖の水中景観を再現しているそうです。


 大きな水槽で存在感がとても強い。円型なのでなので様々な角度から見ることができます。


 旭山動物園のオランウータンとテナガザル。両方ともお客さんの遥か頭上高く登っていきます。



 オランウータンとテナガザルの施設は隣り合っており、お互いに見て分かるくらい近いです。空中なので間に仕切りなどは何もありません。


 寒流ノシャップ水族館は稚内の野寒布岬(ノシャップ岬)にあり、灯台が見えます。まるでペンギンが灯台の下にいるような光景になります。


 室蘭水族館は敷地内に遊園地があります。毎日のイベントで、ペンギンが遊具の前を散歩していきます。


 登別マリンパークニクスには、アザラシのリングプールという個性的な施設があります。お城の前で飛んでいるいるようなアザラシを見れるのはここだけでしょう。


 これらの写真には、解説が必要な撮影テクニックなどは何も使っていません。人工物は思いっきり入ってるし、決定的な瞬間でもありません。目の前にある風景を撮影しているだけ。ただそれだけです。これが動物園そのままの風景です。
 写真を見て「面白い」と思ってくださったら、今すぐでなくていいので、いつか各地の動物園に行ってみてください。そして、ご自身の目で実際にこの風景を見ていただきたいです。

(※私は動物園も水族館も観光牧場なども全て好きですが、それを毎回言うと話が長くなってしまうので、ここでは様々な動物関係の施設を全て含めてまとめて省略して「動物園」と言わせていただきます。ご了承ください)
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動物園の撮り方(1)私は「動物園」を撮りたいのだ!
 「動物好き」と「動物園好き」